僕の修士時代の研究テーマは、ざっくり言えば古代ギリシャ語の形容詞であったのだが、とりわけ、修士課程の在籍期間の大半を、「中心」という意味である形容詞mésosのことを考えて過ごしていた。どうしてそんなことになったのかというのは後ほど説明するとして、まず、古代ギリシャ語、特に紀元前4世紀頃のアテーナイ(今のアテネ)で用いられていた古典ギリシャ語の形容詞がどういうものだったのかを簡単に説明する。 “形容詞を巡る問い(1)――まずは自分の研究について” の続きを読む
一労働基準監督官としての所感――刑事捜査を例として――
刑事訴訟法第189条第2項には、こうある。
司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。
ところで、労働基準法、労働安全衛生法には、それぞれ次のように定められている。
労働基準法第102条 労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察員の職務を行う。
労働安全衛生法第92条 労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)に規定する司法警察員の職務を行う。
ここにおいて、司法警察員は、差し当たり司法警察職員と同義と解してよい。となれば、結局のところ労働基準監督官は、労働基準法や労働安全衛生法等の違反の罪について、捜査を行う権限を持っているわけである。このように、通常の警察官ではないが、警察官と同等の権限を有する公務員を、特別司法警察職員と呼んだりもする。 “一労働基準監督官としての所感――刑事捜査を例として――” の続きを読む
私の「仕事」を巡る因縁の始まり
改めて自分の話をするが、僕は修士で2年間古代ギリシャ語の形容詞について研究をして、その後今は労働基準監督官として労働についてあれこれやっている。わざわざ修士でマニアックなことをやっておいて、結局仕事は無難に公務員なんかい、って我ながら思ったりするのだが、実を言うと、学生の頃から労働についてはぼんやり考えていたりしたのだ。ただし、注釈すると、古代ギリシャ語のἔργον「仕事」についてだったのだが。 “私の「仕事」を巡る因縁の始まり” の続きを読む
僕が嫌いなゲームと、僕がそれを嫌いな理由について
昔は散々ニンテンドーやらプレステやら遊び散らしていたくせに、今の僕には嫌いな(苦手な?)ゲームが色々ある。例えば大富豪、人狼、麻雀、リアル脱出ゲーム、等々。お陰で、知り合って間もない友人と親交を深めるべく複数人で何かするか、ってなったときは本当に困ったのを記憶している。
なんで僕はこういったゲームが嫌いなんだろう? ずっと考えていて、一旦答えが出たかと思ったら、また良く分からなくなって、を繰り返して、今になり、一応の回答が出たのかな、と思ったので、書く。 “僕が嫌いなゲームと、僕がそれを嫌いな理由について” の続きを読む
僕が鬱、ADHDと診断されて思ったこと
僕が鬱、ADHDと診断されて思ったことは、僕は鬱でADHDなのだということだった。何を当たり前のことを、と感じるかもしれないが、とにかくそうなのだ、と言うことしか僕にはできない。確かに、診断以前から、自分は鬱なのではないか、ADHDなのではないか、といった、うっすらとした疑念があったことはあった。しかし、「自分は○○かもしれない、○○なのではないか」と「自分は○○だ」との間にある溝は、人々が思っている以上に、深くある。 “僕が鬱、ADHDと診断されて思ったこと” の続きを読む